「レッド・ライト」(2012)
はたして心霊現象・超能力は実在するのか。30年ぶりに表舞台に姿を現した伝説の超能力者、サイモン・シルバーは詐欺師なのか、それとも…。予知・透視・テレパシー。今作、そういった超常現象を真っ向から否定していく物理学者チームの地道な活躍が描かれる。好演するのはキリアン・マーフィーとシガーニー・ウィーバー。それにしても、騙す側もよくもこれだけ知恵をしぼって数々のトリックを編みだすよなぁ、と心で唸ってしまう。超能力はビジネスになり、大金を生むからなんですね。エセ超能力が科学で暴かれる様を観て、知的好奇心を刺激されながら、それと同時に、人智を超えた力にすがってしまう人間の心の弱さも見せつけられる。スペイン人のロドリゴ・コルテス監督の演出はどこか陰鬱で、今作のテーマとじつに相性がいいです。
でも、いちばんの見ものはシルバーを演じるロバート・デ・ニーロなんだよなぁ。指でスプーンを曲げてみせる、空中浮遊を披露する。そんなデ・ニーロ観たことない! つまるところ、映画ってさぁ、CGとか衝撃のラストとかなんかより、役者の妙なんじゃないですか? 盲目の、得体の知れない初老の超能力者。もう観てるこっちはウキウキしっぱなし。名優、というより「芸能人」ロバート・デ・ニーロを堪能できて、大満足なのでありました。