「マイティ・ソー」(2011)
北欧の神話が元になっているのか。なぜ、シェイクスピア俳優として誉れ高いケネス・ブラナーが、このアメコミ映画の監督をつとめたのか。それがなんとなく気になって、原作に馴染みがない本作を鑑賞したわけですが、観れば納得。前半、神々が住むアスガルド王国を舞台に繰り広げられるのは、荘厳なコスチューム劇。しかも王を演じるのはアンソニー・ホプキンスだ。コミックの世界をここまで格調高く映像化することができるのか。こういう作品に出会うと「なんだかんだ言ったって、映画はアメリカだよな」と思わずにはいられません。
物語のあちらこちらにユーモラスなシーンが意外と多く散りばめられているのだけれど、品がいい笑いで楽しい。主人公のソー、たしかにやんちゃな男なのだが、王の後継者らしく、屈託のない笑顔や、仲間を思いやる気質に育ちの良さを感じる。考えてみれば、神が地球に降りて(落ちて?)きて、でっかいハンマーを振り回して悪と闘う。宇宙人が地球を侵略するより荒唐無稽な設定なのに、観ているあいだはまったく気になりませんでした。
アクション・シーンが少々見づらいかな。でも、いままで観たマーベル製作の映画のなかでは、いちばん面白かった。ステラン・スカルスガルドもでてたしね。なぁんか好きな俳優なんだよな、理由はさっぱり分からないけど。