オーグロ慎太郎の「新・夜明けのない朝」

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「インサイド・マン」(2006)

Inside_man

とにかく痛快な娯楽映画が観たい。かつてのオリンピックでの罪のない人々へのテロに対する報復という事件をスクリーンで学ぶのもおおいに結構。アメリカ西部の保守的な田舎で、その、なんだ。男同士が何十年ものあいだ…。大自然が美しかった。でも、なぁ? 名作・感動作かも知れんが、カタルシスについてはどうなんでしょ。観賞後に居酒屋で延々と語るために映画を観るわけではありませんから、こっちとしては。もっぱら気晴らし・うっぷん晴らし。そういう点では、あんまり話題にならなかったけれど、なんだ、豪華客船が津波で転覆するやつ。アレもなかなかのモンでしたよ、うん。

マンハッタンの銀行にたてこもった強盗団。リーダーのあの面構えは、かなり頭がキレる男と見た。地元刑事との、腰を据えた知恵比べのはじまりですよ。いっぽうこの事件の報告をうけた銀行の会長が、なぜかソワソワし始め、ついにはやり手の女弁護士を事件現場へ送りこむ。なぁにがやりたいんだ、コラ! 銃声が一発も鳴り響かない膠着状態。ロック・アップで組み合うと見せかけて、肩すかし。リック・フレアーですか。しびれを切らした武装警官たちがついに銀行内に突入するけど、オイ、はなしの肝はそこからだぞ。

正直、監督のスパイク・リーの名前なんて、ほとんど忘れかけてましたよ。緊張感が漂う現場でも、さりげないユーモアを盛り込んだ脚本がお見事。分かっているなぁ。今年の上半期に観た映画のなかでは、いちばんオモロかったんでないかい?

060628