「下妻物語」(2004)
「人間は大きな幸せを前にすると、急に臆病になる。幸せを勝ち取ることは、不幸に耐えることより勇気が要る」
…やっぱ戸惑うよなぁ、最初は。自分なりのこだわり、独りよがりで打ち込んできたものが、誰かの役にたつなんて考えられないよ、にわかには、普通。映画のなかの世界だけじゃない。現実でも、ヒトは生きていくなかで、何度も選択をしなければならないんだよねぇ。「選択を避ける」ってのも選択肢のひとつなわけで。あたりまえのことかも知れないけど、だからこそ忘れがちになってしまうんですよ、すくなくとも僕は! 最初のうちは鼻持ちならなかった深田恭子演じる桃子が、しまいには凛々しく見えるんだから、映画って不思議だ。たしかに彼女は誰ともつるまず、ひとりで生きている。たいしたモンですよ、ウン。
物語前半に顕著な、じつにけれん味たっぷりな演出や、随所にちりばめた小ネタ…、そういうものが求められる時代なんですね…。それらを乗りきることができれば、じつにオーソドックスな青春映画として楽しめるはずです。