「空手バカ一代」(1977)
極真会館館長・大山倍達。その若き日を千葉真一が脚色たっぷりに演じた「けんか空手シリーズ」最終作を北米版DVDで鑑賞!
「昭和27年。空手界の異端児、大山倍達は暴力団の用心棒となり、酒と暴力の日々に明け暮れていた!」(ナレーションより)。そんな大山はオープニング早々、寸止め空手の玄武館へ道場破りを敢行。トリック殺法・鬼殺し油地獄に苦しめられながらも、百人組手の末に石橋雅史演じる与那島館長の片目を潰して去って行く。
飲み屋のツケも払えない大山に金儲けのチャンスが。沖縄でプロレスのリングに上がれというのだ(原作ではアメリカなんだが)。契約書をよく読まなかったくせに、打ち合わせに従わず相手レスラーをKO。室田日出男演じるタッグパートナー・グレート山下にそれを咎められれば「うるせえ! 貴様の言うとおりには絶対ならねえからな…!」と逆ギレする大山なのであった! この映画、プロレスは真剣勝負ではなくショーであり、興行はヤクザもしくはギャングが仕切っているとハッキリ描写していて興味深いです。
成り行きで知り合った結核持ちの娼婦・麗子(夏樹陽子)のペニシリン代を稼ぐため、一度は袂を分かったギャングに頭を下げプロレスに復帰するも、大山、ファイトマネーを前借りまでしておいて再度うっかりブック破り! 怒り狂ったギャングの手で大山の隠れ場所などしらない麗子は拷問にかけられ、血を吐いて絶命。なんの罪もないグレート山下も銃殺されてしまう。
この大惨事、己に非があるのでは? そんなことを考える前に大山の足はギャングのアジトに向かっていた。リングで兄弟分だった藤田(本郷功次郎)も加勢して、大山けんか空手向かうところ敵なし! なぜか飛び入り参戦する与那島もふくめ、ギャングたちは次々とあの世行き、ボス役の内田朝雄も「燃えよドラゴン」みたいな鏡の間で大山の怒りの鉄拳により息の根を止められる!
「わが道、極真に終わりなし…!」沖縄ギャング組織を壊滅し、血染めの道着姿で岸壁に立つ大山をなにも言わず夕陽が照らしているのであった。タイトルに偽りなし! 誰も大山倍達(=千葉真一)を止めることなどできやしないのであります!