オーグロ慎太郎の「新・夜明けのない朝」

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「ワールド・ウォーZ」(2013)

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ワールド・ウォーZ』、それはタイトルどおり“Z”のレベル、すなわち“最期”の世界戦争を描いたパニック・エンターテインメントである。(←パンフより)……ゾンビのZじゃなかったのか。作中では「Z」とよばれる、おびただしい数のウイルス感染者、まぁ、ゾンビなんですが、公開前の宣伝ではそのことに一切触れていなかったようですね。

じゃあ、未曾有の危機のなか、愛する家族を守るために奮闘するブラッド・ピットの勇姿を描いているのか。あれ、途中からウイルスの治療法を探すために、妻子とは別行動。それも世界中を駆け足で飛び回るので、観ていてどうにも集中できない。あんなに「Z」が全力疾走したり、群がって巨大な壁をよじ登ったり、ビルの屋上から集団ダイビングしたりと、あの手この手で観客を楽しませようとしてくれているのに、せわしないストーリー、思わせぶりなのに意味がない伏線、たまにやらかすブラピの奇行に気を取られてしまい…。結局、個人的に手に汗握ったのは、どうってことない限られた空間での「Z」と人間のかくれんぼだったという。

アパートに閉じこもったり、高い壁を築いて守りの姿勢で嵐がすぎるのを待つ人々は結局犠牲になり、どんなに無謀でも生き残ろうとする主人公に道が開けるという展開は、いかにもハリウッド的ですが、たいてい明るい未来が見えない「ゾンビ映画」というジャンルのなかでは新鮮で異色な印象を受けました。

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