オーグロ慎太郎の「新・夜明けのない朝」

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「LOOPER/ルーパー」(2012)

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タイム・トラベルという、手垢がつきまくった材料で新作映画を作るからには、ここまでひねらないとダメなのか、と考えされられました。まず、2044年に生きる主人公が、30年後から来た2074年の自分と出会う。しかし、そこから2人が協力しあって巨悪を倒す…という、ありがちなバディものの展開にはなりません。そもそも、現在と未来の自分が顔をあわせることってタイム・パラドックスなのでは? ってそんな理屈、アイデアとセンスでうまく観せられればどーでもよくなるんですね。

そして、この映画が意欲的なのは、タイム・トラベルという奇抜な設定にもうひとつ、これまたSFならではのビックリネタをトッピングしている点で、ストーリーが本格的に動きだすのはそのあたりが露わになってからでしょう。本気なのかユーモアなのかは分かりませんが、監督・脚本のライアン・ジョンソン、なかなかやり手です。惜しいのは、凝りに凝りまくったわりには、テーマはありふれていて、単純。娯楽映画らしからぬ、個人的に不愉快にさせられるシーンが1つ。なぜかブルース・ウィリスの熱演に少々グッタリさせられました。

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