「アメイジング・スパイダーマン」(2012)
敵と一戦交えるときも、ジョークや軽口を絶やさない。待ちぶせの最中も、ノンキにゲームアプリで時間をつぶす。人通りの多い街角でも周囲を気にかけることなく携帯電話で連絡をとりあう。「あなたの親愛なる隣人」であり、ラモーンズが主題歌をカヴァーしたスパイダーマンには、こんな気さくなキャラが似合う。かつてサム・ライミ監督が手がけた3部作、とても評判が良いのだけれど、個人的には作品全体を覆う陰気なムードがどーにもいただけなかった。やっぱり映画は楽しくないと。
「大いなる力には、大いなる責任が伴う」という有名なフレーズも上滑りしているように感じられるほど「アメイジング・スパイダーマン」の足取りは軽い。主人公・ピーター・パーカーは高校生に若返り、両親の謎の失踪という悲しみを抱えながらも、屈託よりも探究心が旺盛で、少なくとも演じるアンドリュー・ガーフィールドの風体からはナードの匂いは希薄だ。あえてリブートするからには、の設定変更なのだけど、男性受けはどうなんだろう。堂々とマンションの窓からガールフレンドの部屋に上がりこむスパイディ。トビー・マグワイアじゃぁ、似合わないよな。
「(500)日のサマー」のマーク・ウェブ監督がアクションを手がけると、こうなるのか。前半が少しダレるけれども、よくできてます。それでも僕が「アメイジング!」とまで感動しなかったのは別の理由がありまして、それは単にアメコミ・ヒーロー映画に飽きはじめたということです。