THE HOWLIN' WOLF ALBUM - HOWLIN' WOLF
ミシシッピー・ブルースの巨人、ハウリン・ウルフ1969年発表のアルバム。タイトルもシンプルなら、ジャケもシンプル。「これはハウリン・ウルフのニューアルバム。彼は気に入っていない。そもそもエレクトリック・ギターが嫌いなのだ」。この文句、ブルース・ファンの気を引くためのジョークならいいのだが、どうやらガチらしい。というのも、今作、当時欧米で大流行していたサイケデリック・ムーブメントに便乗した、企画ものだったため。収録曲はウルフのスタンダード・ナンバーが大半を占めているけど、アレンジがさすが、というかなるほど、というか。
ファズ、ワウワウをギンギンに効かせたギターに、ウルフ御大の強烈なダミ声がからみ、さらにフルート、はてはシタールまで飛びだす始末。なんだろう、この怪しさ、ドス黒さ、ファンカデリックの1stアルバムに通じるモノがあるかもです。ブルースとしては失敗かもしれないけど、サイケデリック・ブルース・ロックとしてはぜんぜんアリなわけで、こういう類の珍作なら、僕としては大歓迎なのです。