「スリーデイズ」(2010)
平凡な大学教授の妻が、ある日突然、殺人容疑で逮捕される。妻の無実を信じてやまない(ハリウッド映画のセオリーにのっとれば無実なのだが)夫・ジョンの狂気にも似た、たった一人の闘争の物語。上映終了間際に、なんの気なしに鑑賞したのだけれど、果たして拾い物でした。
最愛の妻とはいえ、一点の曇りもなく、人は人を信じきることができるのだろうか。それが今作における重要なポイントだろう、なんて考えながら観ていたらハズレ。主人公・ジョンにはなんの迷いもない。そう、まるで劇中の講義のテキストに登場するドン・キホーテのように。妻を自由の身にするために、黙々と着実に計画を練る無骨な男に扮しているのがラッセル・クロウなんだけど、じつに役柄にハマっていました。犯罪の素人に、そこまでできんのか!? まぁ映画なんだからさ、と言ってしまえばそれまでだけど、説得力はありましたよ、充分に。終盤の展開には手に汗握らされるし、役者も渋いし、明るさはないけれど楽しめます。国家の正義より、個人の正義を優先するってテーマ、近年のハリウッドでは珍しいんじゃないの? と思ったら。これ、フランス映画のリメイクだったんですね。