オーグロ慎太郎の「新・夜明けのない朝」

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おとこ足の少女(作・谷ゆきお)

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慣れないスキーで転倒、左足を骨折した主人公・たまみ(←ホラー漫画にシックリくる名前!)。ぶつかった相手が敏腕の女医だったことから、とっとと手術を受けるのだが、なぜか知らない男の足を移植され、その足から黄色い毛が生え始める…! 「おとこ足」。ホラー漫画の題材として、はたして相応しいのか? そんなの知ったことかと、ベトナム戦争の脱走兵は登場するわ、謎のダイヤモンドの行方、男と女の愛憎劇も盛りこまれ、ヒロインを放置したままストーリーは脱線&暴走、そして血まみれのエンディングを迎える。

あらためてストーリーを書きだしてみると、なかなか面白そうな気もしますが! 良くも悪くもメチャクチャな漫画ですよ。バランスというか、整合性なんてはなっから無視して勢いだけで描きなぐった、という印象。ホラーの描写が転じてギャクにひっくり返っているのかというと、その辺もパワー不足。じゃあ見所はというと、特にないです。カルトにすらなれない地味な凡作です。

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じゃぁ、なんでそんな漫画を購入して、しかも思いだしたかのように、時折ひっぱりだしてページをめくっているのかって? 作者の谷ゆきお先生には失礼ですが、誤解を恐れずに言ってしまえば「読者の優越感を満たしてくれる」からじゃないですか。「なんでそうなるんだよ」「この男はなにを考えているんだ」「そこで正体をバラしても意味ないだろ」……読み返すたびに頭のなかで連続ツイート。これが楽しい。一流作家の素晴らしい技量に感嘆し、それを堪能するのもよし! しかし、個人的には、こんな読み方も立派な漫画の味わい方だと言いたい。谷先生、ゴメンなさい。僕は先生の漫画のファンなんですよ。伝わるヒトには伝わるはず! ロックンロール!

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