オーグロ慎太郎の「新・夜明けのない朝」

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「サバイバル・オブ・ザ・デッド」(2009)

Survival_of_the_dead ジョージ・A・ロメロ監督がモダン・ゾンビのあり方を定義した「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド」を世に発表したのが1968年。おいッ、それから約40年経っても、なお! ロメロの新作ゾンビ映画が日本の映画館で鑑賞できる。まず、この事実が快挙でしょ。他所は知らないけど、池袋では平日昼間にもかかわらず客席の4割は埋まってたから、これは嬉しいサプライズでした。

知ってる俳優は一人もいないし、特に今作は明らかに低予算だし。娯楽映画としても、これといった山場がない。実際2回ぐらい睡魔に襲われたんだけれども! と、正直な感想を書かせていただきましたが。でも、いまだにロメロのゾンビ映画を残酷描写だけを目当てに、というか実際、怖がるために劇場に足を運ぶひとが何人いるのか。ロメロの映画って、ゾンビというキワモノを通して、まず人間という生き物の業というか本質、そして人間が作りだした文明やテクノロジーがなにをもたらすのか。そこをキチンと見つめて、風刺を必ず盛り込むという姿勢を貫いてますよね。見所はその変わらない心意気じゃないですか。スベってるかもしれないけど、今作にもiPhone(だよね)をとりあえず登場させてるし。ゾンビはノロノロ歩くべきか、ダッシュさせるのが今風なのか。そんなホラー映画ファンの議論を尻目に、ロメロ版ゾンビ映画は、いよいよ寓話の域に入ってきましたよ。ラストシーンで失笑するかどうかは、あなた次第。僕は支持します。

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