「サブウェイ123 激突」(2009)
デンゼル・ワシントン&ジョン・トラボルタ。2大ハリウッド・スターの共演です。法則とまで断言はしませんが、このテのサスペンス映画で大物俳優が顔合わせをすると、どうしてもそれぞれの見せ場づくりが避けられないせいか、結果、大味な作品に仕上がってしまうのは避けられないことかもしれません。で、監督はトニー・スコット。いつものように、ストップモーション等を多用した、ぶっちゃけ好き嫌いが分かれる、ケレン味をたっぷり活かした演出で、少なくとも退屈はしません(しかし、その過剰な演出のせいで、明らかに緊張感を大きく損ねているシーンあり)。しかし、ですね。
近年、なんというか「品格」を持った悪役が少なくなった気がするのは僕だけでしょうか。ITが普及して、PCやインターネットが映画のストーリーに欠かせなくなった頃から、堂々たる悪人が、スクリーンから姿を消してません? 携帯電話での会話は当たり前だと目をつぶったとしても! 人質とともに地下鉄の車両に立てこもった主犯のトラボルタが、地下鉄職員と交渉するかたわら、ノート型PCの小ッせえモニターを凝視しながら、イライラしたり、大笑いする。そんなことするヤツ、チンケな小悪党にしか見えなくて、ちょっと悲しくなりました。ジョン・タートゥーロとかさぁ、ルイス・ガスマン。せっかく個性派俳優が脇をかためているのに、たいして役に立たないビデオ・チャットなんかに時間を割いて。もったいないないですよ。