にくしみ(作・好美のぼる)
好美のぼる(原やすみ)の描く怪奇マンガとは…。シュールだのチープだの、意味不明だの、たとえ幾千万の言葉を並べて分析したところで、気が付けば徒労に終わるだけの、名もないあだ花。何百という数の単行本を発表しているのに、まったく己のスタイルを省みることなく描きなぐり続けた、ブレーキの壊れたダンプカー。
この「にくしみ」というマンガ、デタラメにも程がある「あっ!生命線が切れている」や、読者を無視し続けるあまりにもありえない展開に、読んでて思わず叫び声をあげそうになる「奇形児」などにくらべると、はるかに分かりやすい物語です。って、ここにアップした画像のセリフが本作のすべてで、それを約80ページに延々と綴ってるだけですが。ラストシーン、最後のコマで読者轟沈。作者はマジメに考えてるんだろうけど!
薄っぺらい、底が浅い、けれども芯はブレていない。たまにデッサンの崩れた、そんなマンガだけ読んでいたい。思考を止めて、いい加減な世界に浸っていたいもんです。こんな真冬の雨の日には。