「野良猫ロック セックス・ハンター」(1970)
かつて米軍基地があった立川。ドラッグに酔いしれる部屋の暗闇のなか、藤竜也演じる暴走集団「イーグルス」のリーダー・バロンがおもむろにつぶやく。
「やられるぞ…。お前らのナオンは、いつかきっと奴らにやられちまうぞ!」
そして「『ごっこ』じゃねぇ! こいつは本当の戦争だ!」と宣戦布告し、「イーグルス」による "奴ら" 、ハーフ(混血児)狩りが始まるのであった。むかし、なにかの本で読みましたが、人間という生き物、たまには戦争をしないとダメ、身が持たないんだそうな。
「流行り廃りもへったくれもあるか!」と言わんばかりの、梶芽衣子演じるマコの着こなし! スーパークール! しかも、梶芽衣子のインタビューによれば、このファッション、梶自身のチョイスなのだ。お見それしました…。
とにかく印象的なのが、クラブのシーンです。めちゃめちゃサイケだぁ。ガレージ・サイケ系GSやゴールデン・ハーフ(…? 「ハーフ狩りとかけてんの?」)もイイけれど、ここに例えば、初期のアモン・デュールⅡが登場したら「あら、イイですねぇ」などとボンヤリ妄想したり。
クライマックス。サイケGS・モップスの曲のタイトル「朝日よさらば」が頭をよぎります。
この日活の「野良猫ロック」シリーズ、僕は最初の3本しか観たことがないんですけど、個人的には前作「ワイルド・ジャンボ」のほうが、どこかとぼけていて好きなんですが、スタイリッシュなアクション映画としては、断然この「セックス・ハンター」に軍配があがります。観ているこっちが恥じらんでしまうようなキザなセリフ、なんといっても圧倒的な梶芽衣子の存在感。青少年がフラストレーションを発散するには、ネットで顔の見えない相手を中傷するより、ジープやバイクを乗り回し、セックス&暴力ど真ん中。そっちのほうが健全なんじゃないの? いろいろ考えさせられます。