「ランド・オブ・ザ・デッド」(2005)
おぉいッ、頭いいなぁ、この映画のゾンビ!テレパシーみたいなモンをつかって意志の疎通をはかったり、火炎瓶を投げたり、マシンガンを乱射してるぞ。むかし、イタリアで粗製濫造されたゾンビ映画のなかにも、マシンガン片手に走り回ったり、枝切り用みたいな長い鎌を器用につかって人間の首をちょん切っちゃう賢いリビング・デッドがたしかに存在しました。しかし、奴らはいわゆる好事家のあいだで「ありえないよな」と、笑いの種にされていたのですが…。
僕の頭が硬いせいでしょうか。このジャンルのパイオニアであるジョージ・A・ロメロ監督が、知能をもって、しかも学習能力があるゾンビを多数起用してしまったというのが、なんだか寂しい。怖くないもん!ちゃんとゴアなシーンがあるから良し!なんて意見も、この違和感のまえでは霞んでしまう。さらには「ロメロ監督の世界観は」とか「政治的理念は」なんて話を説かれると、なんだか話題をすりかえられたような気がします。評論するためじゃない、純粋に気晴らしに娯楽映画を楽しむ観客の方が多数だと思うんだけれど…。なんとか・ムーア監督の影響か知らんけど、ハリウッドの映画を論じる際、政治や大統領のネタを絡めないと気が済まないヒトたちが増えてるって気がするのは僕だけでしょうか。
CG全盛の現在、じつにB級感覚あふれる映像や、ある意味のんびりした演出は嬉しいけれど、これらがいまどきの人々に受け入れられるかどうかは、ちょっと分からない。