「マン・オブ・スティール」(2013)
今作中で主人公がスーパーマンと呼ばれたのは1度きりだったかなぁ。映画の前半は惑星クリプトンの生き残りである異星人・カル=エルことクラーク・ケントの、たどり着いた地球で、汚れた身なりで職を転々としながらの人生放浪記。定番となったアメコミヒーローの心の葛藤。バットマンもアイアンマンも悩んで悩みぬいていたけれど、あのスマートで品が良くてなんだか優雅なスーパーマンまで。若い頃は誰でも煩悶するんですね、たとえ宇宙人でも。
中盤、いよいよお馴染みのコスチュームに身を包んで厳かに登場。アクション・シーンに定評があるザック・スナイダー監督が手がけたクライマックスのゾッド将軍との闘いは、さすがのひと言。大都市メトロポリスをこれでもかとメタメタに破壊しつくし、まぁ暴力、暴力、そして暴力にはさらなる暴力。我に返り、まるで焦土と化した辺りを見回した時、正義のヒーロー・スーパーマンはなにを思うんでしょうか。
いや、なんだかんだでこの映画、スゴく面白かったんですよ。もう1回観たいなぁ、と思わせるぐらい。ただ「我々は本当にこんなヒーロー映画を望んでいるの?」という疑念は胸のどこかに引っかかり続けていました。