「猿の惑星:創世記(ジェネシス)」(2011)
本作の目玉である、ピーター・ジャクソンの「ロード・オブ・ザ・リング」や「キング・コング」でも活躍した、パフォーマンス・キャプチャーという技術。これは大げさではなく、革命だと思う。かつてロブ・ボッティンや、リック・ベイカーといった一流の特殊メイクアップ・アーティストが成しとげた偉業をぬぐい去る勢いを感じます。クライマックスの凶暴動物パニック・シーンはホントお見事。しかし! そこに至るまでの、最先端技術で生命を吹きこまれた、チンパンジー・シーザーの、なんと愛らしいこと! なんだ、こういう感情を「萌え」っていうの!? 僕はアニメを見ないのでよく分かりませんが。
娯楽映画としては、短くまとめた上映時間も含め、間違いなく及第点の作品ですが、根底流れる「せつなさ」を見逃すわけにはいかない。主人公のやや暴走気味の新薬開発の動機が、実父のアルツハイマーの治療という。もし愛する肉親が痴呆になってしまったら…。考えさせられます。シーザーが、自由の女神像の模型で遊んでいたりと、「猿の惑星」シリーズのファンに向けた目配せがいろいろありそうです。最後に。ジョン・リスゴー、老けたなぁ。あれは役作りなのかな?