「2012」(2009)
監督のローランド・エメリッヒってヒトは、破壊衝動の塊なのか、それとも単にムシャクシャしていただけなのか。惑星直列だっけ? マヤ文明の予言だっけ? そんな前置きをササッと説明して、後はもう、上映時間のほとんどが、世界中のあちらこちらがメチャクチャに破壊されるだけという。人類だけでなく、ディザスター映画というジャンルにも引導を渡そうという魂胆なのか。もー、この映画を超えるには、月が地球に衝突するとか、でっかい隕石が…って、それは「アルマゲドン」か。
大統領がいくら感動的なスピーチをしようが、科学者がヒューマニズムの尊さを声高に訴えようが、あまり胸に響かないのは、それらがこの映画をドラマとして成立させるために用意された建前だからじゃないの。そう考えれば、主人公家族が奇跡的な偶然の連続で危機を回避する、あまりにも御都合主義な展開にも、ちっとも腹が立ちません。彼らがたどり着く先々でCGまみれの地獄絵図がこれでもか、と現れるんだから、生き残ってもらわなくちゃぁ。脇役も、自己犠牲も厭わないナイスガイとか、いかにも腹黒そうな大富豪とか。ベタだわぁ。でもそれでいいんです、だって気が散らないで集中できますから。
「これは、映画か。」なんて、笑っちゃうぐらい大仰な宣伝コピーがついてますけど、思いっきりハリウッド産の娯楽映画の王道だという。それも、地上波テレビで日本語吹き替え放送が似合うような!