HIMIG NATIN - JUAN DE LA CRUZ
1973年、フィリピン発。Juan De La Cruzがアルバム『HIMIG NATIN』で吼えました。どんなに空調が整った部屋でも、CDプレーヤーにこのディスクを乗せてPlayボタンを押してみてください。ものの10分で部屋内の不快指数が急上昇すること間違いありません! レッド・ツェッペリンでもブラック・サバスでもない、変化球なしの愚直なヘヴィ・ロックが、かつて東南アジアで息づいていたとは。
フィリピンのロック・シーンなんか全然知らない僕が、なぜ本CDを所有しているのか。それは、ドラム&ヴォーカル担当のジョーイ・スミスと、ベース担当のマイク・ハノポルが、日本に滞在時、我が国が世界にほこるサイケ・ブルース・ロックバンド、Speed , Glue & Shinkiのメンバーだったからなんですね。
ラーメンにたとえるなら、二郎? 天下一品? コラーゲンなら身体にいいらしいけれど、ただの脂身だったらどうしよう。などと真摯にCDプレーヤーに耳をかたむけていてもそんな妄想をせざるをえない、むさ苦しいブルース・ロックが続きますが、ラストにおさめられた、タガログ語で歌われるバラード「Himig Natin」が爽やかすぎて、優しすぎて。歌詞なんかさっぱり分からなくても。
こってりした中華のコース料理で、最後にでてくる杏仁豆腐みたいなモン? だから聴き終えてもリピートしてしまうんだよなぁ。ボーナス・トラックでライヴ音源が4曲収録されてるけど、擬似だよね、これ。