「その男ヴァン・ダム」(2008)
斜陽のアクション・スターと、少々頭でっかちな新進気鋭の映画監督ががっちりタッグを組むと、はたしてその映画はどのような化学変化をおこすのか…?
いちおう、「コメディ」というカテゴリーにくくられるんだろうけれど、劇中にばらまかれたジャン=クロード・ヴァン・ダムの自虐ネタ、それらがすべて事実なのか、てか、そんなことより、単純に笑いにつながらないでしょ、これ。切実すぎて。実際に鑑賞するまで知らなかったんだけど、この映画、ハリウッド産ではありません(ベルギー/ルクセンブルク/フランス合作)。そのせいか、コメディにしてはどうも陰気だし、血なまぐさいシーンもあるしで。おまけに、客がはいってないし(もう、ほぼ劇場貸し切り状態)。型破りかもしれないけど、娯楽作品としては、どうなんでしょ。
監督はヴァン・ダムのファンで、彼のキャリアを復活させたいらしいけれど、監督の実験精神のほうが前にでてしまってません? 趣味やスタイルにこだわるあまり、監督のヴァン・ダムに対する慈愛みたいなモン、それがいまいち伝わりにくい。思えば、シルヴェスター・スタローンの「ロッキー・ザ・ファイナル」はシンプルで、じつに清々しい映画でした。