「ハロウィン」(2007)
リメイクの嵐が吹き荒れるハリウッドで、ついに、70年代ホラーの古典とも呼ぶべき作品が21世紀に復活したわけですが。パンフを読むと、監督のロブ・ゾンビは、殺人鬼を観客にリアルに見せることにこだわったと強調しています。この判断、この映画に関してはかなりデンジャラスな賭けですよね。いまどきの観客が、ホラー映画に、30年前よりも多くの刺激を求めているのは充分承知だけど。
ミステリアスな要素が濃かったオリジナルに対し、今作はブギーマン=マイケル・マイヤーズの少年時代、彼が大量殺人に手を染めるきっかけとなった家庭環境などを、かなりつまびらかに描写しています。深層心理にまでは踏みこまない配慮はなされていますが、きちんと人間としての幅を持たせているわけです。これを蛇足ととらえるファンは少なくないんじゃないかと。それにしても、クライマックスで目の前の障害物をなぎ倒しながら、獲物を追いまわすマスクをかぶった殺人鬼って…。そりゃジェイソンでしょ。えッ、「13日の金曜日」もリメイクされるの!
往年のホラー映画を支えた俳優を脇に配したり(ケン・フォーリーとかウド・キアーとか、シビル・ダニングだとか!)、随所に70年代ロックを流したり、好き者たちへの気配りを欠かさないけれども、いわゆるオタクの自己満足に浸ることなく、きちんと万人向けの娯楽映画に仕上げた監督の気概は、嬉しかったですね。むあ〜、オープニングにいきなり「God of Thunder」が流れるとは。そッかぁ。マイケル・マイヤーズ少年はKISSのファンだったのか。