夜の料理人
「包丁無宿」でおなじみ、料理漫画界のマエストロ・たがわ靖之。そのたがわ先生が、テレビドラマ「必殺」シリーズに触発されたかのように世間にたたきつけた衝撃(笑撃)作、それが「夜の料理人」なんです!
生き別れの妹を探しながら、新宿・歌舞伎町でひっそり小料理屋を営む、鬼神半次郎。その裏の顔は、善良な人々を苦しめ、生き血をすする悪党ども(半次郎いわく「食えねえネタ」)を料理し、地獄へたたき落とす処刑人なのでありました。
設定だけで、もう荒唐無稽な怪作の匂いがプンプンしますが、なぜ半次郎が殺し屋稼業に手を染めるようになったのかの説明がまったくなく(やたら正義感が強いだけなんだろうけど)、歌舞伎町が舞台のせいか、ほとんどが男女の下半身がらみのトラブル、そして、悪党どもの、あまりにも杜撰な犯行などなど、さまざまな疑問が読者の頭をよぎりますが、今作の肝は、半次郎が料理の腕を駆使して、悪を成敗するところですから! しかし、たがわ先生、それもネタギレになってしまったのか。2巻におさめられた(おそらく最終話)「インチキ占い師の悪行」では。
とうとう料理の「り」の字もでてきませんでしたとさ。
とまぁ、かなり荒っぽい作りの漫画ではありますが、たがわ先生の作品は、最初はシリアスな雰囲気で始まるのに、なぜか、いつのまにかギャグマンガになってしまうケースが多いので、ノー・プロブレム。それにねぇ、駄作だったら、何度も読み返しませんって!