「青春の蹉跌」(1974)
石川達三の原作は昔、一度読んだきりだから、細かい部分はほとんど憶えてないけれど、主人公をアメフト部員にするなど、脚本の長谷川和彦がだいぶアレンジをくわえているよう。実験的な描写が多く見受けられ、時代を感じさせられます。井上堯之作曲のテーマ曲は(たぶん)ジョン・レノンの「Mind Games」を意識していて、なかなかの名曲です。
タイトルとは裏腹に、作品全体に漂う倦怠感がタダゴトじゃありません。「青春」ってなんなの? なんというか、登場人物全員が疲れている。とくに桃井かおりのかったるさ。似合っているけれど! 萩原健一演じる主人公は、司法試験合格を目指す大学生なんだけど、勉強している場面がほとんど皆無というのも、なにげに不思議だ。閉塞感に満ちあふれた世界からの逃避。うん、これはハッピー・エンドに違いない。きっとそうだよ。でも、日曜日の昼下がりに観る映画ではないような…。