オーグロ慎太郎の「新・夜明けのない朝」

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「ヘアスプレー」(2007)

Hairspray

ものスゴく楽しい気分になれる、との評判を聞いたので観にいったんですが。主人公のトレーシーは、とにかく陽気でポジティブ。「元気があればなんでもできる」と叫ばんばかりの、猪木イズム全開で青春を謳歌。歌って踊って、あこがれのテレビ番組のレギュラー出演は決まるし、恋愛もなんだかうまく運びそうだし! 背が低いとか太っているとか、周りのみんなと自分がちょっと違うことは個性なんだよ。それって素晴らしいことなんだよ、とこの映画は教えてくれるんです。が。

それとほぼ同じレベルで人種差別を描いているのは、どうなんでしょ。あくまで日本人の、僕個人が感じたことですが。その時代のアメリカでは避けられない問題なんだろうし、極力シリアスに陥らない演出がなされていますが。そもそも、ミュージカル映画にメッセージって必要なんだろうか。物語の舞台は1962年。映画はめでたしめでたしでも、実際はその後、いろいろ悲しい事件がおきるんですよね。ミシェル・ファイファー演じる意地悪なTVプロデューサーと仲直りして、ハッピー・エンド。この程度の薄っぺらいストーリーだったら、歌やダンスはもちろん、御都合主義な展開や、特殊メイクを凝らした女装のジョン・トラヴォルタクリストファー・ウォーケンが夫婦を演じるという夢のコラボも、頭カラッポで楽しめたのに。

071029