スケバン貴族
みなさん、飯島市朗という漫画家をご存知でしょうか? 僕は4年前まではまったく知りませんでした。1968年から約10年間にわたって、成人向けの劇画誌にホンット、奇々怪々としかいいようのない作品を発表し続けた鬼才です。その飯島先生の大大傑作集「トルコ星座の男たち」に続く第2弾「スケバン貴族」が、先月、グッピー書林から自費出版で発売されました!
巻頭を飾る、幽体離脱なんだか瞬間移動なんだかわからないけど、そういうモンを独学で会得した男の悲劇「テレポーション」(テレポーテーションにあらず!)。この1作でさっそくKOさせられてしまいました。「ドリフ大爆笑」のコントみたいにスコーンと気持ちよく抜けたオチにかぶる、なにやら哲学チックなナレーション。「所詮、男なんてこんな生き物だよな」とシミジミしながらも、こみ上がってくる笑い。あ、笑ってしまっていいんだろうか。ほかにも、核戦争後、500年後の地球を舞台にした「TIME TRAP」、女性上位時代に遺伝子操作でセックス・アニマルが誕生する「性的人間」など、飯島先生のイマジネーション、というか妄想はドンダケなんでしょう。よくこんなマンガを商業誌が掲載できたなぁ!
とにかくエロ!グロ!ナンセンス! くわえて猟奇&変態としかいいようがない世界ですが、それらがなんとか娯楽作品として仕上がっているのは、意識してなのかそうでないのか、飯島先生の意識の底にある、ギリギリの「人間の情」というブレーキが働いているからだと思います。でないと、何度も読み返せないですよ! 2冊とも、マンガファン必読ということで! 中野ブロードウェイ「タコシェ」ほかで絶賛発売中です。