「ダ・ヴィンチ・コード」(2006)
結局、こうするしかなかったんでしょうね。原作に収められた、膨大な蘊蓄を割愛するわけにはいかないし…。監督も脚本家も悩んだんだろうなぁ…。で、ストーリーテリングより、そっちを優先したわけですね。映画鑑賞の前に原作を読んでおいて、ホントによかったと思いました。こんな緊張感のないハリウッド超大作、なかなかお目にかかれませんよ。
物語序盤の、主人公とヒロインが警察に追われる身になって、ルーヴル美術館を脱出しかけるんだけど、思いなおして…、なんて展開なんか、なぁ? そんな手に汗握る状況を、あんなに軽くながしてしまって。銀行の貸金庫の暗証番号を入力するシーンなんか、一度ポカしたらそこで一巻の終わりですよ。たとえるなら、時限爆弾を解除するのに、赤いコードを切ろうか、それとも青いコードか、ってぐらいのアレなのに、じつにサクサク解決していきますよ。うん。さんざん蘊蓄や驚愕の新事実(なんだよね?)を、まるでオタク青年がまくし立てるように披露して、いくつもの暗号をあまり悩まずに解読して、たどり着いた先には…。そこにあるのは金銀財宝のような視覚に訴えるようなアレじゃぁないし、個人的にはなんのありがたみも…。うん。
キャスティングについては、ひとつだけ。僕は映画や小説に登場する刑事は、愚直なまでに任務に忠実で、頑固で執念深いタイプが好きでして。で、原作の警部もそういうタイプ。でも、ジャン・レノが演じる警部は、いまいちエッジがきいていなかったなぁ。残念。なモンで、酒呑みながら考えてみました。
・ロバート・ラングトン教授 … 藤波辰爾・ジャック・ソニエール館長 … 百田光雄
・リー・ティービング卿 … 星野勘太郎
・マヌエル・アリンガローサ司教 … 長州力
・シラス … 松永光弘
・ベズ・ファーシュ警部 … 藤原喜明
こんな配役だったら、スクリーンもグッと引き締まるような気がする。