オーグロ慎太郎の「新・夜明けのない朝」

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「ヒストリー・オブ・バイオレンス」(2005)

A_history_of_violence あぁ、これはポカした。しました。この映画を観る前に、原作のグラフィック・ノベルは読んじゃダメです、肩すかしを食らった気分になるので。少なくとも観終わった直後は。パンフのインタビューを読んで、監督は原作があったことを知らなかったことを知り、納得。

暴力。それも善悪の彼岸から見た、リアルな暴力! それを観客に提示するのが、この映画の狙いらしいけれど…。かえって野次馬根性をそそられるんじゃぁないか? だって監督はあのデイヴィッド・クローネンバーグですよ。あ〜悲しいかな、暴力を描くのにもいちいちエクスキューズが求められる時代になってしまった、ということなのか。思えば昔の刑事ドラマなんか、毎週毎週、暴力描写の嵐だったし、名作の誉れ高い、東映の「仁義なき戦い」シリーズなんか…。どうなんだ? もう、我々の感性にはすっかり刷り込まれてしまっているんじゃぁないの? そういう描写を観て得られるカタルシスの回路みたいなモノが。その堅固なところに一石を投じることはできますよ。でも、そこから先は…。ウン、くれぐれも自己責任で。ご利用は計画的に。

上映時間は1時間36分。なんだかんだで、う〜ん、もちっと観たかった!と思わせるんだから、とどのつまり、楽しめました。エド・ハリスが素晴らしかった。しかし、シリアスな内容とはいえ、娯楽映画を、国際情勢や、向こうの政治政策をキーワードに読み解く風潮、ってのもそろそろ、なぁ?って気がしないでもないですが。え、個人的には、もちろん暴力反対! 戦争反対! ですよ。さぁ、プロレス見ようぜ。

060401