オーグロ慎太郎の「新・夜明けのない朝」

生まれる時代を間違えたような気がするけど、それでも生きてるイラストレーター。お仕事は随時承っております。Contact me. : cannabis●ce.mbn.or.jp(スパム対策のため、●を@に変えてご使用下さい) http://shintaro-ooguro.com

「ピーマン80」(1979)

piment80_01

piment80_02

新井康弘演じる貧乏大学生が、ひょんなことから大泥棒(谷隼人と手を組み、大手デパートの売上金を強奪する…、という最低限のプロットを用意して、その細い幹に、全編、ありったけの思いつきとしか考えられない幼稚なギャグが、たたみかけでまぶしてある映画です。

piment80_03

「うわ〜、一発ギャグの、宝石箱や〜!!」と喜びたいところだけど…。たとえば、漫画家、というより、TV「クイズダービー」の"宇宙人"こと、はらたいらがラーメンをすすっていると、洗い物をしている新井が「湯気の向こうにうまさが見える」とつぶやく…。おい、こんなのアレだぞ。この当時、はらたいらがインスタントつけ麺のCMに出演していたことを知らないピープルには意味不明だぞ。ほかにも、新井が牛丼の吉野家でバイトしていると、野球のバットをかついだ子供が「やったねパパ、明日はホームランだ!!」と飛びこんでくる…。一事が万事、こんな調子で、後世にこの映画を残そうという気持ちゼロの、純度100%ノー・フューチャーな作品なのでした。

piment80_04

全編にわたってこんな進行なので、いまだソフト化されてないのもむべなるかな、なんですが、主人公役に個性やクセがあれば、なんとか現代でも一部で通用したはず。ずうとるび新井康弘には、ちと荷が重かったかな。その代わり、カメオ出演とはいえ、この無駄に豪華なラインナップはどうよ(allcinema ONLINE 参照)製作・監督の居作昌果(Wikipedia 参照)の人脈ありきなんでしょうね。

piment80_05

視点を変えれば、この当時の風俗を知ることができる映画ではありますが、純粋にコメディとして観ると…。キレてないですよ、キレてない。俺キレさせたらたいしたモンだよ、ウン。

051209