オーグロ慎太郎の「新・夜明けのない朝」

生まれる時代を間違えたような気がするけど、それでも生きてるイラストレーター。お仕事は随時承っております。Contact me. : cannabis●ce.mbn.or.jp(スパム対策のため、●を@に変えてご使用下さい) http://shintaro-ooguro.com

映画

「あなたへ」(2012)

俳優・高倉健のたたずまい。見どころはこの一点につきる。あえてジャンル分けするならば「高倉健、主演映画」。豪華共演陣に囲まれていても、気が付けば、スクリーンにいるのは健さんひとりという印象。さすが、というより夢のなかで手品を見せられたような…

「アメイジング・スパイダーマン」(2012)

敵と一戦交えるときも、ジョークや軽口を絶やさない。待ちぶせの最中も、ノンキにゲームアプリで時間をつぶす。人通りの多い街角でも周囲を気にかけることなく携帯電話で連絡をとりあう。「あなたの親愛なる隣人」であり、ラモーンズが主題歌をカヴァーした…

「ファミリー・ツリー」(2011)

アレクサンダー・ペイン監督ならではの、淡く、ゆったりとしたタッチで描かれた「家族の再生」の物語。なのだけど、僕はこの作品を観ているあいだ、ずっと「無常」という二文字を考えていました。この世のものはすべて変化していく。形ある物は失われ、人は…

「ドライヴ」(2011)

久しぶりに出会った、不思議な味わいの犯罪映画。名無しの主人公「ドライバー」はどうやら流れ者で、昼は自動車の整備工をなりわいとし、時には映画のスタントマン、そして時には強盗犯の片棒をかつぐことで生計をたてているらしい。物語前半、主人公がヒロ…

「ルチオ・フルチの幻想殺人」(1971)

昨日、3月13日はイタリアン・ホラー・ムービーを語るうえには決して外せない映画監督、ルチオ・フルチの命日だったんだそうです(Twitter)。それとタイミングを図ったかのように、フルチの隠れた傑作「幻想殺人」が国内盤DVDで発売されました。 1970〜80年…

Lina Romay passed away(1954-2012)

Rest in Peace.

「ドラゴン・タトゥーの女」(2011)

デヴィッド・フィンチャーの撮る映画には、なぁんか温もりが感じられない、とぼんやりした感想を持っていたけれど、今作は舞台が極寒のスウェーデンということで、その印象が一層際立つ。原作も、スウェーデン版も知らずに鑑賞したのだけれど、「犬神家の一…

「コンテイジョン」(2011)

人間を死にいたらしめる謎の新型ウィルスの脅威を描いたパニック・ムービーなのだが、スティーブン・ソダーバーグ監督は、かつての「トラフィック」を彷彿させる、つとめて派手さを抑えた淡々とした演出で、まるでドキュメンタリーを観ている気分にさせられ…

「スリーデイズ」(2010)

平凡な大学教授の妻が、ある日突然、殺人容疑で逮捕される。妻の無実を信じてやまない(ハリウッド映画のセオリーにのっとれば無実なのだが)夫・ジョンの狂気にも似た、たった一人の闘争の物語。上映終了間際に、なんの気なしに鑑賞したのだけれど、果たし…

「猿の惑星:創世記(ジェネシス)」(2011)

本作の目玉である、ピーター・ジャクソンの「ロード・オブ・ザ・リング」や「キング・コング」でも活躍した、パフォーマンス・キャプチャーという技術。これは大げさではなく、革命だと思う。かつてロブ・ボッティンや、リック・ベイカーといった一流の特殊…

「ピラニア 3D」(2010)

「トランスフォーマー」最新作をIMAX 3Dで鑑賞し、アトラクションの要素の強さから(上映時間の長さもあるけれど)グッタリ疲れてしまい、当分の間3D映画からは距離をおこう、なんて思っていたのに! おまけに、近年のホラー&スプラッター映画は、意識して…

Yoshio Harada passed away(1940-2011)

Rest in Peace.

「マイティ・ソー」(2011)

北欧の神話が元になっているのか。なぜ、シェイクスピア俳優として誉れ高いケネス・ブラナーが、このアメコミ映画の監督をつとめたのか。それがなんとなく気になって、原作に馴染みがない本作を鑑賞したわけですが、観れば納得。前半、神々が住むアスガルド…

「さや侍」(2011)

なんだかんだで、松本人志の映画は、野次馬根性で3作とも映画館で観ている。今作、初の時代劇ということに加え、前2作よりもなにやらシリアスな雰囲気が漂っている気がして、少々マジメに(?)鑑賞した。つもり。 ストーリーの説明は書かないけれど、奇抜な…

「X-MEN:ファースト・ジェネレーション」(2011)

チャールズ・エグゼビアとエリック・レーンシャー、のちのプロフェッサーXと宿敵マグニートーの邂逅を軸に描いた本作、「X-Men」サーガの最高傑作との呼び声に違わず、新人類・ミュータントの孤独や団結、そして対立をきちんと盛りこみながらも、2時間超の上…

「ブラック・スワン」(2010)

正直、観終わった後、心身ともにグッタリしてしまった。殺人鬼やモンスターはでてこないが、ジャンル分けするならば、ホラーのカテゴリーにはいるでしょう。オスカー主演女優賞に輝いたナタリー・ポートマンが演じる、バレエ一筋に打ちこむ、生真面目な優等…

「ザ・ライト -エクソシストの真実-」(2011)

エクソシズム、悪魔祓いをテーマに映画を製作する時、観客もおなじだろうけど、どうしたってウィリアム・フリードキンの傑作「エクソシスト」を意識せずにはいられない。今作はホラーやオカルトの色を抑えめに、そのかわり、若い神学生が失いかけていた信仰…

「ザ・ファイター」(2010)

ボクシングをテーマにした映画といえば、サクセス・ストーリーの定番だけど、今作の主人公・ミッキー・ウォードの場合、勝利をおのれのためにつかみ取るのではなく、まるで寄生虫のような家族に強いられている(タカられている)ところが特殊。実際これは家…

「ヒア アフター」(2010)

製作総指揮の欄に、スティーブン・スピルバーグの名が連ねてある。そして、映画の冒頭、パニック映画と見まがうような大津波がタイの街を飲みこむ。監督・クリント・イーストウッドの新作が「死後の世界」を扱うことを知った時は「ヘェ〜」と思ったけれども…

「ソーシャル・ネットワーク」(2010)

Facebook、いちおう登録はしているものの、長い間放ったらかしにしている。操作がよく分からないし、覚えるつもりもない。SNSなら5年ぐらい前からmixiを始めているし、なんだって無理をしてまで会ったこともない人と繋がらなけりゃならないのよ。mixiにして…

「アンストッパブル」(2010)

「暴走する列車を止める」この映画のストーリーの説明は、この一文で足りてしまう。些細な人為的ミスがきっかけとはいえ、暴走はアクシデント。したがって、そこにはなんの陰謀もないしテロリストもいない。とことん贅肉をそぎ落とした脚本が清々しい。主人…

「トロン:レガシー」(2010)

1982年製作の前作「トロン」は、とにかくコンピュータ内部の世界を、フルCGで描いた(実際には手描きのアニメーションも用いられた)という映像革命が売りの作品で、思えば「見世物」としての側面が強く、公開時に劇場で鑑賞し、その映像美に感銘を受けたも…

「極悪レミー」(2010)

いや、もう、ただただ感服するのみ。モーターヘッドのリーダーであり、ロック界のボスであるレミー・キルミスターは、あまりにもレミーそのものでありました。 映画は自宅である、足の踏み場もないような安アパートの一室で、暗がりのなか、黙々とビデオゲー…

「マチェーテ」(2010)

噂どおり、そして想像どおりのホントに馬鹿馬鹿しい映画でありました。が、メキシコ人の不法移民という問題が根底に流れていて、意外とマジメに作られているなぁ、という印象。残酷描写が陰惨で汚らしく感じないのは、ロバート・ロドリゲス監督が持つ、ユー…

「エクスペンダブルズ」(2010)

まるで冗談のような、アクション・スターの揃い踏み。アクション映画ファンの妄想が実現したといっても大げさでもなんでもない。シルベスター・スタローンとアーノルド・シュワルツェネッガーの共闘なんて、あってはならない! それはホントに最後の切り札!…

「ジャーロ」(2009)

タイトルの「ジャーロ」とは本来イタリア語で「黄色」の意だが、70〜80年代にイタリアで大流行&大量生産された猟奇サスペンス映画を指す。言うまでもなく本作の監督・ダリオ・アルジェントは、そのジャーロ映画を牽引してきた傑物。過去に自分が手がけてき…

「ミミズバーガー」再DVD化

もう4年前になるのか、当ブログで「ミミズバーガー(原題:THE WORM EATERS)」ってカルト映画のDVDの発売告知をしたことがありました。僕がイラスト(ジャケにあらず。レーベルロゴ&ポストカード)を担当したので。→参照 アッという間に完売したそうですが…

「特攻野郎Aチーム THE MOVIE」(2010)

先立って「作戦は奇を持って良しとすべし」と、チームのリーダーであるハンニバルに堂々と開き直られてしまうので、そんなバカな、などとツッコむのは野暮なのだろう、おそらく。夏のお祭り映画だし、なにも考えずに鑑賞すれば決して退屈しない娯楽作に仕上…

「プレデターズ」(2010)

冒頭、傭兵やらスナイパー、死刑囚に加えなぜか日本のヤクザまでが、いきなり上空からパラシュートで見知らぬジャングルに放りこまれる。これは観客をスクリーンに引きつけるに充分な効果をあげているし、そのジャングルの正体が分かるシーン、あぁ、これは1…

「サバイバル・オブ・ザ・デッド」(2009)

ジョージ・A・ロメロ監督がモダン・ゾンビのあり方を定義した「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド」を世に発表したのが1968年。おいッ、それから約40年経っても、なお! ロメロの新作ゾンビ映画が日本の映画館で鑑賞できる。まず、この事実が快挙でしょ。…